「株式は将来の業績を期待して投資をすると言われます。しかし、「将来の業績」
に漠然と期待するという事では、投資としては、不十分です。
投資した資金に対して、どの程度の業績が結果として見込めるのか、投資資金
から計算したものが「益回り」です。
「益回り」は、確定されてモノではありません、当然上振れも下振れもあります。
とはいえ、目途が必要です。
比較になるものは「債券」の利回りです。」
■債券、とりわけ国債は、国が元利金の支払いを担保している金融商品です。
その国の金融市場の中で、国債以上に信頼が置ける証券はありません。
そのため、同じ期間の債券であれば、最も金利が低く評価されます。
その国債金利と比較するのが、株式の益回りです。
「益回り」は、PERの逆数として計算されます。
株価を一株当たりの利益で除したものがPERです。
「益回り」は一株当たり利益を株価で除したものです。投資資金にたいして、
どの程度の利益を上げているかで利回りを計算します。
運用しなければならない資金がある場合、選択肢があります。
確実に利益が得られるが、投資資金に対する利回りが低い運用。
確実に利益が得られるとは限らないが、投資資金に対して大きな利益が上がる
可能性が期待できる運用
前者が国債による運用であり、後者が株式による運用です。
■両者を隔てているのは「リスク」です。
確実に利益が獲得できる債券と、獲得できる「可能性」の株式では、リスクの度合いが
異なります。
しかし、株式から獲得できるかもしれない利益には魅力があります。
そこで生まれるのが、元利確定の国債と株式の益回りの差の検討です。
株式から生み出される利益の蓋然性が高まれば、債券利回りと益回りの差は
縮小します。リスクが減少するからです。
逆の場合は、株式化価格が下がり益回りは高くなります。
■今年に入り、ニューヨーク市場ではこの「益回り」と国債利回りの差が極端
に縮小しました。
一部の銘柄では、国債の利回りを大きく割り込むような低い益回り=高いPER
の銘柄が算出し始めました。
やはりこの状態は行き過ぎです。
経済の基本原則から外れています。
株価が調整を求められるのはそういう時なのです。