「昨日のニューヨーク市場は三指数まちまちの動き。ダウは、好決算の
採用銘柄が寄与して、小幅に上昇、ナスダック、S&P500指数は、新規
失業者申請件数が少なく、再び金利低下期待が遠のいた感があり、続落
しました。
日本市場は、TSMCの想定通りの業績開示により失望感が出て、下げ過程
に入った時に中東情勢の緊張が伝わり、下げを加速しました。
しかし、その下げは「中東情勢」によるものとは違うと考えています。」
■アメリカでは、株式の「益回り」と債券金利のバランスが崩れつつあります。
株価の上昇が維持されており、「益回り」が債券金利に近付き、債券金利
を下回る銘柄も出てきているからです。
この状態を修正するには「業績」が拡大するか、「金利」が下落するか
いずれかです。
何度もコメントしていますが、このバランスが崩れるときに株式市場は、
修正を迫られます。
今晩のニューヨーク市場は、日本市場での株価下落を受けて始まります。
半導体関連の高PER銘柄の業績に注目が集まりますが、オランダのASMLの
想定外の業績、台湾TSMCの増収増益ながら市場の期待には届かなかった
数字などで、今晩のニューヨーク市場は、ナスダック市場のハイテク銘柄
を中心に株価見直しが進むと想定しています。
■日本市場では、日経平均に対する寄与率が大きい値がさ半導体関連銘柄
を中心に調整が進んでいます。
明らかに、個別の企業に対する期待感ではなく、日経平均先物との帳尻を
合わせるために買い上げられた感がある値がさハイテク株が、いよいよ
現実の数字と向き合わなければならないタイミングに来ている、という事
だと考えています。
値がさハイテク株の下落と「中東紛争」にはあまり関係は無いと思います。
あるいは、「中東紛争」のせいにした方が都合がいい勢力が存在するのかも
しれません。
本日の下げは、日本市場における調整の最終局面だと考えています。
来週から三月決算会社の決算開示が始まります。
2月決算会社の内75%が増益でした。
しかし、小売業界の多くは今期の減益を想定しています。
値上げの浸透からその反動が想定されるからです。
さて、値がさ半導体関連銘柄も前期は減収減益、今期は増収増益が想定されて
います。
しかし、その増益幅が市場の期待に応えるものかどうかは微妙です。
期待されるのは、「増配」「株式分割」「自社株買い」などの資本政策を
開示する会社が多いか少ないかです。
日本市場は、アメリカと比較して、「益回り」が極端に低いわけではありません。
金利水準と比較して極めて順当な「益回り」です。
株価を極端に下げなければならない合理性はありません。
■日本市場の調整局面は少なくとも「値幅」においては終了したと考えています。
後は時間の経過です。