「日米ともに決算シーズンに突入です。アメリカは第一四半期、日本は
本決算の会社が大半です。
投資家にとって、会社側の事業の成果を確認できるとともに、将来の
展望について期待を持ちたい時期です。」
■株価水準が、経済合理性から考えていささか間尺に合わなくなってくる
と、将来に対する期待にバイアスが置かれるようになります。
「今はぼちぼちだけれど近いうちに大化けするに違いない」というような
期待感を背景として、割高な株価を納得するのです。
「IR」が株価に与える影響の大きさは、いまや「暗黙知」的になりつつ
有ります。
しかし、「IR」をコンサルすることを事業とする会社が出現して、いささか
「IR」が、マニュアル化されて、「熱」が少なくなった感があります。
企業の中には「株主総会の予行演習」のような考えで、行うところもある
程です。
なるほど、日本人は、自己表現が上手くはありません。とはいえ、それを
理由として「IR」の「熱」を覚ましてはならないのです。
「IR」とは投資家に対する「愛情表現」でもあるからです。
■株価は将来の価値を評価するものです。
完了した時期の数字は、もちろん重要ですが、なにより、これからの未来に
実現しようとしている事業とその収益が大事なのです。
しかし、それは、「受注残」のように確実なものばかりではありません。
企業経営者として、大事なことは、自社の価値をきちんと投資家に示す
事です。
「皆様の大切な投資資金を私に任せてください。きっと大きく稼いで見せます。」
という気概が大事であり、その熱意を常に投資家に示し続けることが必要
なのです。
マニュアルにのっとって、瑕疵をつつかれないように、何事もなく「IR」イベント
を終了することにバイアスを置いていると、投資家は、その会社に対する
熱が冷めてしまうのです。
■アメリカの上場企業は、そのあたりの機微をわきまえていると思います。
事業に対する熱意と意欲、それが投資家に伝わり株価を押し上げます。
日本の企業にも、自身の事業に対する熱意を投資家に厚く語る時代が到来している
と考えます。
一部の企業では、ようやくそんな「IR」が実現し始めています。
夫婦生活が長くなると、次第にたがいに対して関心が薄らぐと言われています。
会社と投資家も同じです。
『きれいだね」とか「愛してる」など、やや幅浮きそうな誉め言葉でも、掛け合う
夫婦の方が上手くいくと言われています。
会社と投資家も同じなのだと考えています。
PBRが一倍に届かない会社の多くは、そんな投資家に対する「愛情表現」が
不足しているのではないか、そう考えています。