「古くは「ノストラダムスの大予言」、最近でも「ユダヤ人支配説」
「アメリカの陰謀説」など経済や社会情勢で、不安をあおるような、
そして、世の中の人々の裏側で、知られない「黒幕」が世界を動かしている
というせつが出回ります。
「陰謀論」は、分かりやすいものです。」
■世界の為替市場は「国際金融マフィア」が牛耳っている。「アメリカ政府」
が動かしている。
アメリカせいふとその背後にあるユダヤ、金融マフィアによって、これから
起きることは全て決められている。
アメリカが資金調達をしたいときには、アメリカ政府の「陰謀」により「ドル高」
が進行する。
などです。
例えば、湾岸戦争で、アメリカが資金が必要になったため、湾岸戦争後に「ドル高」
が進行した。
ウクライナ戦争やイスラエル紛争でアメリカが資金を獲得したいために「ドル高」が
進行している。
いずれもアメリカ政府が描いたシナリオである。
株価もアメリカ政府や金融マフィアが差配している。
リーマンショックで銀行の多くを倒産させ、安値で統合させたのも、彼らの陰謀である。
など枚挙にいとまがありません。
■「陰謀論」の方たちは、都合のいい情報をつまみ食いします。
そしてつじつまがあたかも合致しているかのように説明するのです。
「ノストラダムスの大予言」の中の「1999年の7の月アンゴルモアの大魔王が降臨して、
世界が滅ぶ」としたコメントで「オーム真理教」信者が増えたのと同じ理屈です。
彼らには、実は何を言っても無駄なのです。
宗教と同じだからです。結果が出ればおのずと収束する代物です。
■為替の「アメリカ政府主導論」は矛盾があります。
アメリカが最も資金を必要としたのは、「ベトナム戦争」であり、「冷戦の最終期」
です。
「陰謀論」の人たちの理屈であればその時期は「ドル高」にならなければおかしいの
ですが、逆でした。
リーマンショック時にも、無駄な損失を出す必要はなかったはずです。
つまり、世界の経済や「お金」の量は、一国の政府が差配できるほど小さな規模では
無くなっているという事です。
金融マフィアにしても、その巨額の世界に流通する資金の極めてわずかな量を支配
しているにすぎず、彼ら自身も、自己増殖しなければならないのです。
世界に変動を巻き起こして、火事場泥棒的に稼ぎたいと考えているにすぎないのです。
■経済は世界の隅々にまで影響を与えています。
経済=お金と考えていいと思います。
世界の隅々に入り込んでいる「お金」はあたかも「液体」のように、どこにでも
入り込んでいきます。
そして、「利益」を求めて移動を繰り返し、変異を起こします。
つまり、水が常温から期待に変わるようにです。
「陰謀論」は、考えることをやめることです。
何でも「アメリカ政府」「金融マフィア」のせいにすればいいからです。
現実はそうはいかないという事から目を背けることができるのです。
「陰謀論」で、経済の崩壊、株式相場の崩壊を心配するのは、「天が落ちてきたら
どうしよう、地面が無くなったらどうしよう」と心配して「杞憂」をする人と
同じことなのです。