「昨日、アメリカ10年国債と為替相場についてコメントしました。
本日は、その為替と日本経済、そして株式相場に関してです。」
■日本市場は、長らく、1989年12月末の「38915円」を最高値として推移
してきました。
その高値を抜いたのは、今年に入ってからです。
高値を付けた買い方の主力は、「外人」であり、背景は「日本企業の収益力の
回復」でした。
さて、コロナパンデミックで、世界中が一斉にゼロ金利になり、コロナ
パンデミックの終了とともに日本を除く各国は、「インフレ」が到来しました。
コロナ時代とは一転して、欧米の金利は上昇し、日本との金利差は拡大、
金利差を背景とする投機的な「円安」が始まりました。
2022年央を起点とするこの円安とともに、日本企業も業況を改善しています。
経常利益の伸び率は大きく、GDPもプラスに転じました。
しかし、その好調さは、果たして、企業の生産性が向上し、売り上げを伸ばし
業務改善が進んだ結果なのだろうか?
という疑問を海外投資家が改めて持ち始めているのではないかと思います。
■日本企業の業績が改善したのは、単に急速に進んだ「円安」のせいではないのか。
そうとなれば、「円安」が「円高」に転換するとたちどころに日本企業の業績は
減益に転じるのではないだろうか。
現に、今年5月の本決算開示では、慎重な企業が多く、今期想定は減益では
なかったか。
第1四半期決算では増益になった会社が多かったが、それはこの期間に起きた
急速な「円安」が原因ではないのか。
はたして、日本株を安心して投資していいものだろうか。
というのが日本株に対する海外の主要投資家の見方ではないでしょうか。
従って、アメリカの政策金利が低下するタイミングで、アメリカ10年国債の利回り
が急低下し、「ドル安」「円高」に向っています。
日本株に対する懸念が出てもおかしくはありません。
■これらの懸念を払しょくするのは具体的な決算開示と通期のガイダンス以外に
ありません。
アメリカ10年国債金利は、アメリカ景気の後退を読み込みすぎており、いささか
金利下げピッチが速すぎ、かつ幅が大きすぎると想定しています。
本格的に日本市場が反転するためには決算が必要です。
10月から11月の決算開示が極めて重要だと考えている次第です。