市場の目「あきれてものが言えない」(2025.05.12)

「先週末のアメリカ市場は三指数ともに小幅な動き。
スイスで行われている米中貿易交渉の行方を静観したという事です。

日本市場は、想定以上に堅調です。」

■トランプ大統領による「医薬品の価格引き下げ」大統領令により、
製薬会社の株価が売り込まれました。

国民皆保険制度の中で薬価が国により決められている日本とは異なり
アメリカでは、自由な市場の中で、大統領令の効力で、どれほど
の事が出来るのかは疑問です。

薬の開発には膨大な時間と費用が必要です。
薬の価格には、その開発費と費用を乗せています。そのため、「大衆薬」
ではない患者数が少ない医薬品の価格が高くなるのは、やむを得ないこと
なのです。

日本で新薬の開発が進まない理由は、薬の価格の決定権が開発した側には
無く、国の側にあるという事です。

開発する側がボランテイア精神で犠牲を払って薬を提供しなければならない
という仕組みでは、会え「火中の栗」を拾うような新薬の開発には手を染められない
という事です。

資本主義社会、自由主義社会は経済合理性で動いているのです。

自由主義の国アメリカで、トランプ大統領の薬価引き下げ大統領令が
そのまま実現するとは想定できません。

■トランプ大統領は成果を急ぎすぎています。
薬の価格を引き下げることは極めて重要なことですが、トップダウンで
決められるような代物ではありません。

関係者の調整や「何故薬の価格が高いのか」という事の背景を解析して
対応していかなければ、継続性がある政治とは言えません。

強引な手法は「質の低下」を招きます。

トランプ大統領は、また一つアメリカの重要な財産を喪失させそうです。