代表中野を嗤え「「グロース銘柄」と「バリュー銘柄」そして「自社株買い」」(2024.06.10)

「今年の決算開示に合わせて上場会社が表明した「自社株買い」の金額は
7兆5000億円に上ります。

昨年、騒がれた海外投資家の日本株買い越が6兆円程度でしたから、自社株買い
の大きさが異例のものであることがわかります。」

■「自社株買い」は会社が、自己資金を使い、有効な運用手段として行う
モノです。
本来は、本業の事業に使うべき資金ですが、株価が自社が考えている価値と
比較してあまりに安く、「自社株買い」に充当するほうが事業に資金を回す
より効率的である、あるいは同等の効果がある、と考えるときに実行する
のが理屈です。

幸い、日本企業には、長いデフレ時代から蓄えた膨大な内部留保が存在して
います。

その内部留保を活用するタイミングが到来したという事です。

会社のこの内部留保などの資金を効率的に使うという「合理的な判断」が
ようやく日本にもアメリカに遅れて到来したという事です。

アメリカは、経済が伸び悩んでいた「リーマンショック後」に、「自社株買い」
が急増しました。
企業の成長が期待したほどでもないと考えられ、株価はその評価よりもなお安価で
有ると見られ、「自社株買い」が増えたのです。

「自社株買い」と「成長」は実は相反する概念なのです。

■日本市場では「グロース銘柄」の元気がありません。
「グロース株」と区分されながら「グロース」していないという事が原因です。

一方「バリュー銘柄」は豊富な内部留保を背景に「自社株買い」を推進しています。

株主から見ると「グロース」しない「グロース銘柄」よりは「自社株買い」をしてくれる
「バリュー銘柄」の方に「投資効率」を感じることが多いと思います。

「自社株買い」と「成長」は相反する理念であると言いました。

「グロース銘柄」を自称する会社にとって、「自社株買い」を行う事は自己矛盾します。
つまり、成長力を売りにしている銘柄が成長を否定するような「自社株買い」を
選定するわけにはいかないのです。

かくして、「グロース銘柄」と「バリュー銘柄」の格差がますます拡大する事
になります。

■格差を是正するにはどうすればいいのか?

「グロース銘柄」が「グロース」している姿を市場に示すことです。
それ以外に方法はないのです。

株主総会を前にして、「バリュー銘柄」各社は粛々と「自社株買い」を行っています。
結果として、日経平均株価は安定的に推移しています。

この流れはひょっとすると数年程度継続するかもしれません。

「バリュー株」が「グロース株」を凌駕していく時代が長引くと考えています。