「円ドルの相場が円安傾向に強まっています。日本国内では、日本政府
の責任などとコメントする人もいますが、現在の「円安」は、「円」
だけに起きていることではなく、「ドル高」が原因です。
「ドル高」の原因は何か、「ドル不足」です。」
■コロナパンデミックが始まるとき、円ドルの相場は115円前後で、推移
していました。
其のころのアメリカの長期債金利は2%から3%前後です。
日米における円ドルの通貨の過不足は、顕著ではありませんでした。
コロナパンデミックに入るや否や、アメリカは大量に財政出動を行い
ました。
金利を引き下げるとともに、市中から債券を買い入れ、市中に資金を供給
し続けました。
コロナワクチンが完成し、普及が進み、コロナパンデミックが沈静化すると
ともに、アメリカが大量に供給したドルの回収に入り始めました。
アメリカの債券金利が上昇を始めるのは2022年からです。
■そのころから「円ドル」は「円安」に急速に傾き始めます。
「インフレ」を抑制し、経済を安定させるために、金利を引き上げたものですが
何より、大量に市場に放出しすぎた「ドル」を回収することにFRBは躍起と
なっています。
「円」だけでなく世界中の通貨に対して「ドル」は高くなっています。
コロナの渦中に市中に大量に流出した「ドル」は、通常の経済だけではなく
投機や投資にも大量に流れました。
インフレを助長するこれらの動きは、金利引き上げや、QTが進行して、資金が
吸収される都度、厳しい運用に迫られます。
「ドル高」は、明らかに、アメリカによるドルの再吸収政策の結果です。
市中にばらまかれた資金は、金利と運用益により自己増殖しています。
そのために「インフレ圧力」は中々に収束しません。
ドルに対する需要が高まるため、長期債などを売却する動きが促進されます。
金利は上昇し、ドルが市中から吸収されます。
金利が上昇するため株価は下落します。
■日米金利差では合理的な説明ができない「円安」です。
「ドル不足」による「円安」は、日本政府としては、いわゆる「撤退戦」の
ように、介入して水準を押し返し、という事を繰り返すほかないと考えます。
何しろ、世界の国で、ドルを供給しようという国は日本だけなのです。
「介入」は今後何度も行われると想定しています。
「ドル売り」を行いつづければ日本政府は「ドル」が枯渇して、やがて、
介入が出来なくなるのではないか、そう指摘する評論家もいます。
しかし、心配はいりません。
日米の財務省同士で協定が出来ています。日本はアメリカから無限に「ドル」
を借り入れえすることができます。
ようはドル不足の状況が安定的になるように待つしかないのです。