市場の目「きしみ始めたトランプ関税」(2025.04.15)

「昨日のニューヨーク市場は三指数ともに上昇。先週のスマホ輸入の
関税緩和に続き、昨日は、自動車部品に関しても緩和方向を示した
ことが背景です。

そもそも考え方を間違えている「関税政策」がようやく現実との矛盾
に大きな軋み音を立て始めているのだと考えています。

日本市場は追随。」

■アメリカの「貿易収支の赤字」はそもそもアメリカにとっては、最重要
の課題ではありません。
アメリカが軍事力による安全保障、それに伴う信用の担保がある限り、
アメリカが貿易で垂れ流す「ドル」は世界に流通し、世界の「基軸通貨」
として、やがては、アメリカへの投資として還流していくのです。

そんな「お金」のながれを一部分だけ見て歪めよとするのは、まさに
「角を矯めて牛を殺す」の格言其のままです。

トランプ大統領は、財政赤字の最中で「減税」を行うために無理やり「関税」
という手段を「発見」したのかもしれませんが、間違った「解」だと
考えます。

アメリカへの信認が薄れ、反感が高まり、ドルでの決済が忌避され、
ドルの価値が下落します。
国内は人件費が高く、アメリカでモノを製造するには適さない状況になって
います。
関税で国内景気が低迷してくると、アメリカの消費が落ち、結果として
貿易収支は均衡するかもしれませんが、経済が縮小しての均衡です。

アメリカは昨年までの「一人勝ち」の状態から今や「一人負け」になろうと
しているのです。

■日本とアメリカの交渉が始まります。

日本政府は急がないことだと考えます。
次第にアメリカは打つ手がなくなりつつ利ます。国内での反発が大きくなりつつ
あるからです。

アメリカが欲しいのは「財政赤字」を補填する「お金」です。
防衛費負担、アメリカ国債の購入など最終着地点は見えています。

トランプ大統領は「減税法案」を議会に通すことで勢いが落ちます。
しかし、その「減税法案」は間違えています。
「一律減税」ではなく「増税」と「減税」のバランスを考える政策が正解
だからです。

■トランプ政権の「軋み」はまだ激しくなります。
「減税法案」が議会を通過した後に、「関税」は一気に緩和されるのではないか
その可能性も考えているところです。