代表中野を嗤え「アメリカ製造業景況感指数」(2024.03.05)

「アメリカのISM製造業景況感指数が先週開示されました。16カ月連続で
50割れという、明らかな景気停滞期の様相です。

アメリカでは経済の「ソフトランデイング」期待が高まっていますが、
足元の製造業の状況は、決して良好とは言えないのです。」

■ISM景況感指数は、月に一度、製造業と非製造業個別に開示されます。

景気が好調である基準である「50」を下回れば不況、上回れば「好調」
と言えます。

アメリカでは、非製造業の景況感指数は「50」越えを連続しています。
しかし、製造業では16カ月連続という「50」割れを示しています。

アメリカの製造業は、深刻な不況状態であるともいえるのです。

■反面、この16か月間、株価は上昇を続けています。
あたかも「鰐の口」のように、製造業景況感指数の下落と株価の上昇
は乖離を拡大しています。

本来経済学的には、景況感指数が下がるに従い、「金利」が引き下げ
られ、それにより、株価が上昇をはじめ、景況感指数も上昇に転じる
と言われています。
つまり、「鰐の口」は開いていくのではなく閉じていくのが合理的だと
されてきました。

なぜこういう状態が起きているのでしょうか。

■株価が上昇していると、アメリカでは個人資産の多くが株式であり、
資産が増加します。そのために、深刻な不況感が感じられない、という
事が起こります。

製造業の稼働が月を追って落ちているにもかかわらず、アメリカに不況感
が出てこないのは、株価の上昇が起因しています。

アメリカの株価上昇をけん引しているのは、一部のIT企業です。
最近では「エヌヴィデア」の好調が株価を押し上げているといっても
いいと考えますが、この「エヌヴィデア」は、設計はしますが、現物の
半導体の製造は「TSMC」など海外企業です。

また、アメリカの勤労者の比率を見ると、製造業に属している人は13%
程度です。
マグニフィセント7などのアメリカ経済をけん引しているとされる
企業に属している人たちは10%内外です。

あとの勤労者はサービス産業などに属しています。

■そのため、景況感がまちまちになるのです。

とりわけ、株価が上昇して、個人資産が増加すると、不況感は希薄化します。

FRBのパウエル議長がどんな判断を下すのか注目です。

いずれにしても「トランプ」氏が主張している「Make America GreatAgain」
は、製造業にバイアスを置いている印象があります。
しかし、すでに製造業はアメリカでは主力産業ではないのです。
製造は、同盟国に任せて、ソフトウェアなどのIT産業を強化することで
アメリカは世界を支配できるのです。

社会構造の変化に関してアメリカは先進国のモデル的な役割を果たします。
しかし、ある意味、特殊な変化の仕方をしているのではないかとも考えます。

日本は、アメリカに対して「最強のハイテク製造業」を行う国として、
これから生きていくのだと考えています。