代表中野を嗤え「ベンチャーキャピタル」(2024.02.09)

「日本市場でも、未公開企業に投資をする「ベンチャーキャピタル」は
何社か上場しています。

「ベンチャーキャピタル」の収益源は投資先の株式の売却もしくは、配当金
ですが、それまでの投資期間を含めたコストを考えると、高値での売却
が収益の基本です。
しかし、そのビジネスモデルでは、事業を継続的に成長させていくという
ビジネスモデルが描きにくくなります。」

■日本の上場ベンチャーキャピタルのビジネスモデルは、ほとんど同じです。

未上場で、成長が期待される会社に資本を投下し、また、人的支援や成長
支援を行います。
晴れて、その会社が、他社へM&Aされるもしくは上場することで、利益を
獲得します。

しかし、重要なことは、投資先のEXITが、毎年決まった時期に実現できる
訳ではなく、EXITが実現するまでは収入が無く、投資先がEXITする確率が
極めて低いという事です。

そのため、ベンチャーキャピタルの株価は、常に割安に放置されます。
前年度の事業利益から算出されるPERなどは、継続的な事業収益の獲得が
想定できないこの業種では、「あてにならない」数字だとも言えます。

反面、市場環境が変化して、新規公開銘柄を受け入れやすい環境になると
想定以上の高値で、投資先の株が評価されることがあります。
保有しているベンチャーキャピタルにとっては、まさに「我が世の春」
とでもいうような状況となります。

配当を増やし、自己株買いなども積極的に行います。

極めて「刹那的」なビジネスモデルとも言えます。

■「ソフトバンクグループ(9984)」の株価が久しぶりに急騰しています。
投資先のナスダック市場の「アーム」株式の急騰がその背景です。

同社の含み益は急拡大しました。

その含み益を換算した同社の価値も同様に急増します。株価が上がるゆえんです。

しかし、その株式は、直ちに売却して、事業利益に転化することはできません。
保有している株式は上場して成長を加速し始めると、売却にも慎重にならざるを
えません。

投資先の会社の株価形成を損なわないことが重要ですし、そういう契約も
締結しています。

しかし、いつまでも安定株主ではいられません。
含み益だけを評価される株価では、常に割安な株価となりがちだからです。

「ベンチャーキャピタル」のビジネスは、世の中には必要なものです。
しかし、「産業のゆりかご」である「ベンチャーキャピタル」がその成果を
謳歌するのは簡単ではないのです。

投下資本が巨大であればあるほど、このジレンマが続きます。
■ソフトバンクグループは世界に冠たる「ベンチャーキャピタル」です。

日本市場には世界で勝負できるようなベンチャー企業が出てこないことが
課題でもありますが、ソフトバンクグループが一社で世界のベンチャー企業
を体現しているとも言えます。

さて、利益を実現すべきか、含み益として、やせ我慢を続けるか、
いやはや難しいところではあります。