「この社会で売買や交換などで流通している様々なものにはすべからく
「価値」があります。
その「価値」を決めるのは、「需要」と「供給」のバランスです。
いくらでも「供給」できるものに対しては、「需要」も安定的です。
しかし、時として、この「需給関係」のバランスが崩壊する時があります。」
■資本主義の宿命は、常に、価値が増殖していくことです。
モノを仕入れ、加工し、販売する毎に勝ちが少しづつ付与され、当初の
仕入れの時の価値から販売されるときには、価値が上がっているのが、通常です。
そのため、この経済の循環が円滑に進むためには、緩やかなインフレが好ましい
のです。
デフレであれば、仕入れから加工、加工から販売にそれぞれコストがかかり、
付加価値をつけたいのですが、デフレ圧力で、付加価値が抑え込まれます。
そのため、経済成長に苦労します。
さて、資本主義経済下で経済が順調に拡大してくると、経済に使われた資金は
自己増殖して増加していきます。
その増加は福利効果で増加の速度は加速します。
経済運営に使う資金の増加幅は限定的ですから、増加した資金は、投資資金など
に向かいます。
しかも、その資金は毎年増加していくのです。
■増加した資金による投資を「需要」とすると、株式市場での供給は、「株式の
売り」です。しかし、「発行株式数」の増加は、限定的です。
そのため、株式市場における「需給」は常に「需要者側」がリードをしていきます。
アメリカの株式市場の上昇が止まらない、日本市場の上げが早すぎる、など、批判的な
コメントが多く出ます。
しかし、株式市場における「需給関係」のバランスは明確に、市場における
投資資金の流入額の増加が止まらず、「供給」サイドが限定的であるため、株価水準は
上がらざるを得ない、という事です。
さて、どういう時に「需給関係」の変化が起きるのか。
一つは、金利の上昇などで市場から資金が吸い上げられること。あるいは、戦争や
それ以外の特殊事情で市場から資金が吸収されて「需要」が急減する事です。
もう一つは、投資資金には、求める最低のリターンが必要です。
投資資金が増えるごとに、期待すべきリターンは下落していきますが、一定の
水準を超えると、投資資金は逃散します。
例えば、あまりにも高い株価に、業績の成長が追随できない時、合理的な説明ができない
水準まで株価が上昇している時には、投資資金は、投資可能な水準まで売却します。
あるいは、投資をやめて別の商品へ向かいます。
株式投資をやめて債券投資へ向かうなどが典型です。
■アメリカ経済は極めて好調です。
投資すべき資金は今年も着々と自己増殖をしています。
日本企業も順調です。日本は、デフレ気分からインフレ基調に転換することで
資金が増殖の速度を速めています。
これが現在起きている株高の背景です。
今や、マネーの自己増殖は、「金本位制度」などのように何かに制約を受ける状況
ではありません。
つまり、マネーの拡大は容認されているのです。
1929年の大暴落時代と最も異なるのはこの点です。
強気はあまり評価されませんので、これくらいで・・・