「二国間の為替は、さまざまな要素で動きます。
実質金利、名目金利の差、需給の変化などです。
1月に入り、急速に「円安ドル高」傾向が加速しています。
何故なのでしょうか。」
■名目金利は、日米の10年国債の金利です。この差は明確です。
日本の10年国債金利は、0.7%から0.9%で安定していますが、アメリカ
の10年国債は、5%台から3.8%台まで大きく変化しています。
最近では、再び10年国債金利が上昇しています。
つまり、名目金利では、明らかに日米金利差は拡大しているのです。
実質金利は、名目金利にインフレ率を加味したものです。
アメリカのインフレ率が終息してきたことにより、アメリカの実質金利
は、マイナスから、プラスに変化しています。
日本はマイナス金利の影響もあり、依然として実質金利はマイナスの
ままです。
昨日開示されたアメリカのCPIは、12月と変化のない水準でした。
しかし、債券市場で、10年国債が売られて利回りが上昇したことにより、
実質金利は上昇しています。(もちろんプラスです)
さて、名目金利、実質金利ともに、格差が拡大すれば、為替を決定する
要素としては、「円安ドル高」にならざるを得ません。
■1月からはNISAが始まりました。
多くの投資家が、積立投資枠で「全世界株式(オールカントリー)」や
S&P500連動の投資信託に資金を投じました。
この資金は、「実需」として、「円売り、ドル買い」に回ります。
金利差の拡大により、「円安ドル高」傾向が強まる中で、実需としての
「ドル買い」が加わるわけですから、当面、アメリカの金利が下がるまでは、
この「円安ドル高」傾向が継続する、という事になります。
NISAによる海外市場への資金投入は、否応なしに「円安」傾向を助長します。
日銀や財務省が、「円安」の牽制に動いていますが、足元の日本国民の資金が
その「円安」の原因の一つとなると、なんとも、頭の痛いところです。
■アメリカのインフレ率は確実に抑制されています。
アメリカの市場心理が、金利低下に傾くには、やはり、アメリカ経済の好調さ
に陰りが見えてくるという事が必要になるのではないかと考えています。
日本政府の政策としては、画期的な「NISA]制度ですが、思わぬところで、
為替変動のもとになっているわけです。
国民が日本の市場をあまり信用していないというのは、なんとも悲しいこと
ではあります。
日本株や日本の指数に投資をする「NISA」投資をもっと進めたいと考えています。