「年初から始まった「新NISA」制度は、各金融機関の営業努力により
急速に認知度が拡散しています。
それと同時に「NISA評論家」のような方々がアドバイスとして様々な
コメントを語っています。
しかし、その中身は、「投資信託」の種類に関してであり、本来、
政府が企図していた、国内の株式など日本の産業に対する資本提供に
関しては、あまり語られることがありません。」
■「新NISA」制度は、「積立投資枠」と「成長投資枠」の二本立てです。
「成長投資枠」の方が金額が多く設定されています。
「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズを追求していけば、「株式」
への投資が、当然、最初に来るべきですが、そうなっていません。
「株式」は証券会社しか取り扱いできませんから、証券会社より、はるかに
数の多い金融機関に配慮して「投資信託」の枠を設けているのだと
考えています。
行政の仕事は、公平を企図するものですが、「貯蓄から投資へ」という
大方針のもと、なんとも、苦渋の選択ではなかったか、と考えています。
■アメリカと比較して、日本の個人資産に占める「投資信託」「株式」
等の比率は、極端に少ない状況です。
アメリカの個人資産に占める比率は「預金」が17%程度「投資信託・株式」
が80%を占めます。
日本は、まったく逆の比率です。
そのため、アメリカでは経済成長の成果としての株式市場の上昇が、そのまま
個人資産の増加につながります。
アメリカの個人消費がいつまでも堅調な背景です。
たいして、日本では、2010年以降日経平均株価は4倍以上に増加していますが
日本の個人投資家はその実感を持てないままでいます。
そのため、「新NISA」で、買い付ける「投資信託」が、「オールカントリー」
や「S&P500」などアメリカ株式を中心とした商品になっています。
また、お勧めしている「NISA評論家」や銀行の営業の方々は、「株式」に関する
知識がほとんど素人同然のコメントです。
これでは日本株への投資が進まないのも致し方ないのではないかと思います。
■しかし、制度の精神は、日本の経済に「エクイテイマネー」を供給する、
という点にあります。
その点に気が付いている個人投資家は少なからず存在しています。
そして、株式のことが分からない「銀行員」や「元銀行員」の方には、是非
株式に関して勉強してほしいと思うのです。
あなた方が進めている「投資信託」は、「株式」がその基本なのです。
「株式」を勉強せずして「投資信託」を進めるというのは、どんな素材で作られた
料理かを知らずに、その料理を進めるようなものです。
金融に携わるものとしての責任と矜持を持ってもらいたいと考える次第です。