「日米の為替相場の変動要因には、さまざまな要素がありますが、年々
金利差の影響度が高まっていると考えます。
アメリカの10年国債の金利の動きを日米為替の推移と重ねると、見事に
一致します。」
■日本銀行の政策金利は現在0.5%です。今までゼロ金利が長く続き、
金利が引き上げられたと言っても未だ0.5%です。
対するアメリカFRBの政策金利はコロナ時の0.5%から5.5%まで上昇
しています。
当然、政策金利に連動する、日米の10年国債金利には、差が出ます。
日本の政策金利は極めて低く、そのため、日本の金利というより、アメリカ
の国債金利の上下がそのまま日米10年国債の金利差といってもいい時期が
長く続きました。
(日本銀行が金利を上げたがっているのは、対米の為替政策の自由度が
金利が低いままでは手段が限定的になるからです)
本日の日本の10年国債の金利は本日0.896%です。
アメリカの10年国債金利は3706%です。
この差が縮まるか拡大するかが為替の水準を左右している可能性があります。
■日本の国債金利は、中央銀行の政策金利が動きが限定的なため(低い水準
ですから、「引き上げ」が出来ても「引き下げ」は限定的です)金利水準は
一定の幅となります。
日米の為替動向が「金利差」に大きく左右されるとすると、アメリカ国債の
今後の推移が大きなポイントとなります。
今月のFOMCで、FRBは政策金利を引き下げると宣言しています。
その発言を反映して10年国債は、金利をすでに下げています。
通例、金利が引き下がると債券金利は追随します。
問題は、FRBのこれからの対応です。言い換えれば、アメリカの景気動向が
現状維持から活発になるのか、もしくは停滞から後退に入るのか、という
事です。
景気が順調に維持できれば、金利引き下げは限定的になります。
そうなると10年国債金利の金利も限定的な動きから金利上昇気味になります。
景気が悪化していけば、FRBは際限なく金利を引き下げる必要があります。
当然、10年国債金利は金利が下落していきます。
日米金利差は縮小に次ぐ縮小となります。
■アメリカ国債金利の低下が限定的であれば、日米為替の動きも限定的になります。
現状であれば、すでに、FRBの金利引き下げを織り込んでいると想定されます。
仮に、もう一段進んでも1ドル138年から140円どころで収れんする可能性が高い
と想定しています。
逆に景気が悪いとなれば金利は急速に引き下げられます。
為替は1ドル130円割れまで想定する必要があるかもしれません。
■アメリカの株式市場に注視する人は多くいますが、債券市場に注目する人は
多くはありません。
しかし、債券と株式は確実に関連している市場です。
日本市場にとっては、為替も加えて考える必要があります。
アメリカの景気動向をどのように考えているのか、FOMCの後にFRBのパウエル議長
のガイダンスが重要であると考える理由です。