「「クラウデイングアウト」とは「押し出す」という意味です。
政府・行政府が、財政支出や税収不足を補うために資金調達を行うと、
民間の資金需要に制限がかかり、金利が上昇することをいいます。」
■「円安・ドル高」が急速に進み、「円安」の弊害について、さまざまに
コメントする人たちが多くなりました。
為替は「円高」になるにせよ「円安」になるにせよ、周辺の人たちから
まさに「岡目八目」的なコメントが出てきます。
とりわけメデイアはその傾向が強いようです。
バブルのきっかけとなった1985年のプラザ合意ですが、当時のドル円は
242円でした。それが一夜にして切り上げられ、年内には200円まで円高が
進みました。
その時のマスコミの騒ぎようは今でも忘れません。
燕三条の「食器業者」がコストが合わずに廃業寸前であるなどとして、
世論を「金利引きさげ」に持ち込みました。
その金利引き下げがのちのバブルの始まりになったのです。
円ドルはその後79.75円まで高くなり、日本の輸出産業は、日本から出て
海外で工場を作らざるを得なくなりました。
日本から工場が海外に移転しますから「GDP]は減少します。
かくして、日本のGDPは減少し続け、中国に続きドイツにも抜かれることに
なりました。
しかし、それが大きな問題でしょうか。
円安で工場が日本の回帰してくるに従い再び日本のGDPは回復しています。
遠からずドイツを抜き返すと想定しています。
■さて、昨日もコメントしましたが、「ドル不足」による「ドル全面高」
が、「円安」の理由です。
ドル対円、アメリカ対日本という構図は改めて考えなければなりません。
「ドル不足」の背景はアメリカ政府による「クラウデイングアウト」が
原因だと考えています。
アメリカ政府は、トランプ政権時代から大規模な減税を行い税収減を招いて
います。さらにコロナ禍で世界最大の財政支出を行いました。
国債やCP、社債などをFRBが買入れ、市中に資金をばらまきました。
現在その回収が始まっているのです。
さまざまな形で市中に流出した資金は、金融機関などに集約されているわけ
ではありません。
個人にも流れ、中にはアメリカから海外へ流出した投機資金も多くあります。
しかし、アメリカ政府が回収するドルはアメリカ国内が中心です。
世界中にばらまかれたドルをアメリカという国内に限定して回収するのでは
アメリカの金利が「クラウデイングアウト」されて上昇するのは当然の事
です。
日本とアメリカの金融政策は根本的に違うのです。
■マスコミは物事を単純に考えがちです。
それは、マスコミ自体が勉強不足であることと、難しいことは伝えるのが
難しいということが原因です。
そのために、誤った情報が市場に流れます。
「大衆が常に間違える」ことが多い理由はそのあたりにも原因があります。
「間違えない」ためにはどうするのか・・
それは、疑う事です。
もっともらしくコメントされることに疑いを持つことです。
とりわけ投資の世界で少しでも結果を出したいと考えるならば、「大勢」
を疑う事を習慣にしては如何でしょうか。