代表中野を嗤え「ドル高の弊害」(2024.07.01)

「ドル高の勢いが止まりません。「円」だけでなく「ユーロ」や世界中の
通貨に対して「ドル」が強い状態です。

通過の交換レートの変化は、それぞれの国の経済に大きな影響を与えると
考えています。」

■「ドル高」はある意味、第二次世界大戦後の状況に戻りつつあると考えて
います。
圧倒的な生産力を背景にして、世界戦争の勝利者となったアメリカは、その後の
「冷戦」も乗り越え、まさしく世界の覇者となりました。

しかし、「ドル高」はアメリカ経済を痛め続けました。
「繊維」「電気製品」「自動車」「半導体」などで、次々と日本に市場を
とられ続けたのです。
「ドル高」は修正され、「円高」の時代になりました。

しかし「円高」は日本の製造業を痛めつけました。日本国内での生産では国際競争
に耐えうるコストにならず、やむなく、海外に工場を移転させました。
それでも、日本製品の優位さは世界で維持され続け、「円高」の修正は中々
起りませんでした。

転換点が起きたのは、以前にも書いた「情報革命」です。
それまで各国が独自にシステムを作成していました。日本でも「NEC」や「日立」
「ソニー」などは有力なシステムソフトやロジックを構成していました。

■時代が変わったのは「アップル」「マイクロソフト」の登場です。

瞬く間に「アップル」は世界を席巻しましたし、「マイクロソフト」も「WINDOWS」
の拡大で同じように世界を席巻しました。

単なる「売りきり」のビジネスではなく、一度導入されれば、長くロイヤリテイが
入るこのビジネスモデルは、「ドル高」転換の道を開きました。
つまり、モノの収支は赤字でも「コト」の収支が圧倒的にドルの勝ちになったからです。

その流れは「AI」に進化することでより加速されます。
「クラウド」「データセンター」の拡大もさらに加速の速度を上げます。

「金利差」が原因ではなく「アメリカのビジネスモデルの優位さ」が「ドル高」を
招いているのです。

■日本はどうすべきか。
アメリカが「ドル高」で失った「ハイテクデバイスの製造拠点」になることが一つ
です。
もう一つは、単なる製品の売り切りではなく、その後も長くサービス利用が続く
事業モデルに転換することです。

例えば「日立」が世界各国の鉄道や公共インフラに、モノも提供しますが、その運用も
受託して、収益を上げるモデルに転換しているようにです。
やがて、自動車も自動車自体がハイテクデバイスとして、同じようなビジネスモデルに
転換すると考えています。

日本は「円安」を活用して、「ハイテク製造国」になればいいのです。
しかもそのビジネスモデルは、「売りきり」モデルではなく、「サービス」モデルとして
継続使用を余儀なくされるものになればいいのです。

■いつまでも「ドル高」を「金利」のせいや「ユダヤの陰謀」「アメリカ政府の陰謀」
のような的外れの議論にとどめておくのではなく、本質的な議論をするべきでは
ないでしょうか。