「日本の市場でも数多くの「バイオベンチャー株」が上昇しています。しかし、
物質などの特定が終了し、「治験」が順調に進んでいる銘柄は、さほど
多くはありません。
物質を開発し、有効性を確認して、各種治験を遂行し、製造販売承認を獲得
するまでは最低でも15年以上は必要です。
しかし、多くの個人投資家は、そういう事情をあまり理解していません。
薬はあっという間に出来上がり、業績に反映されるとでも考えているようです。
薬の開発に注がれている「バイオベンチャー」社員の執念と情熱などは
どうでもいいような株の売買の振る舞いをするものです。」
■日本のバイオベンチャーの中でも開発品が「製造販売承認」に最も近づいている
会社の一つが「サンバイオ(4592)」です。
同社は厚労省の「製造販売承認」の審議対象となる医薬品を開発しています。
そして、3月に「審議」されました。
「審議」に入ったという事で株価は急騰しました。期待感で900円を超える株価が
付けられた後、「審議」が「追加資料を待っての継続審議」となったことで、
株価が急落しています。
極めて不思議なことではあります。
「審議」対象になったこと自体が薬の有効性を示すものです。
また、すぐに「製造販売承認」が下りなかったとしても「継続審議」となった
事と薬がだめになったこととは「天と地」ほどの違いがあります。
株価は、まさに薬がだめになったような扱いです。
■長く「バイオベンチャー株」に携わったものからすると、日本の個人投資家の
レベル感にまたしてもがっかりさせられた感があります。
理由はいくつかありますが、最大の理由は、現状個人投資家の株式取引の70%以上
は「信用取引」だという事です。
「待つ」ことが出来ないのです。
そのためまるでイナゴのように「群がっては」すぐに飛び去って行きます。
「バイオベンチャー」は、日本にとっても重要な国家戦略になりうる大事な産業です。
しかし時間と資本が必要です。
売上の無い企業に対して「融資」をする金融機関は無く、資本が必要なのです。
長期投資が必要なのが「バイオベンチャー」株なのです。
日本の現在の個人投資家には「待つ」という選択肢が喪失していると思います。
刹那的な投資では、大きな利益を獲得することが難しいと思います。
「バイオベンチャー」株の成長に合わせて投資を進めるような資金を提供してくれる
投資家、アドバイスできるアナリスト、いま必要な人材だと考えています。
NISA口座の成長投資枠で寝かせておくのはとても有効だと考えている次第です。