代表中野を嗤え「パッシブ投資優位?」(2024.07.10)

「日本市場では、株価が順調に上昇しています。しかしその上昇は、
個別企業の業績や価値を再評価して上昇しているというよりも、
日本市場全体の上昇を見込んだ海外投資家の買いが主力だと想定
しています。」

■日本市場の売買高の70%は、海外投資家が占めています。1980年代の
日本市場のバブル状態、その後の急落過程では、海外投資家の参加が
少なく、ほとんどが日本の投資家、なかんずく、「特定金銭信託」や
「証券会社の自己売買」が占めていました。

現状の日本の株式市場は、「バブル期」とは様変わりしています。

海外投資家から見ると、「個別銘柄」を物色するだけの調査体制が出来て
おらず、否応なしに、市場全体の指数を追いかける「パッシブ投資」に
傾くのはやむを得ないことかもしれません。

日本の投資家が、アメリカの個別銘柄に投資できるのは「有名銘柄」だけ
であり、結果として「S&P500」や「ナスダック」指数に連動した「投信」
を投資するのと同じことです。

■弊害もあります。
「指数連動」の「パッシブ投資」が主力になると、効率的に運用をすすめる
ために現物株を投資するとすれば、指数に対する寄与度の大きな銘柄に
偏りがちになるという事です。

つまり、PERやPBRで計算すると明らかに割高な「半導体関連株」が、優先的に
買われ、指数への寄与度が低い銘柄は見捨てられがちになるという事です。

そのため、指数の上昇に比較して上昇銘柄が少ない、下落銘柄の方が多い
等というやや相場の体感とは異なる動きが生まれます。

このような動きが変化するためには、投資家の多様性が必要となります。

短期の投機的な海外投資家が中心の動きになると、上記のような動きが
継続します。

海外勢の買い上りに対して、日本の個人投資家は「売り」で対応しています。
これはこれで、投資家の多様性を示していると思います。

■課題は「買い」の方です。

指数の寄与度が低いとみなされて、「割安」に放置されている銘柄に対して
市場が正当な「価値評価」を行うためには、これ等の銘柄に対して、「買い」
向う投資主体が欲しいところです。

その「買い」主体が、「物言う株主」という名の買占め屋だけというのも
何ともさみしい限りだと考える次第です。