「アメリカ経済は好調な指数を開示し続けています。反面、負の側面が
ないわけではありません。
インフレ抑制のために金利を上昇させましたが、インフレ抑制の成功と
引き換えに、弊害も出てきているのです。」
■コロナ禍は、社会に大きな影響を与えました。産業構造の変化がさらに
促進されたことは言うまでもありませんが、人の働き方に決定的な革新
が起きました。
それは、在宅でリモート勤務というスタイルです。
日本でもこのスタイルは普及し、オフィス需要が減少するとともに、東京
等の都市に拠点を置く必要もなくなりつつあります。
この傾向が日本以上に進行しているのがアメリカです。
何しろ、来年から始まるトランプ政権の目玉である「政府効率化省」で
最初にワシントンの政府職員への要請が「オフィスに出勤する事」です。
政府のトップが命じなければならないほど「在宅勤務」が定着している
という事です。
「在宅勤務」は勤務する側には、デメリットはあまりありません。
情報も入手できますし、嫌な上司と顔を突き合わす必要もない。
しかし、根本的なところで、対面で決めなければならない事、秘密厳守が
必要なこと、特別なアイデアなどは、リモートの勤務だけでは喪失する
かもしれない事柄です。
また、昼間の人口が多いことでその地域の経済が活性化します。
反面、昼間の人口が減少すれば、街は様相を変えていきます。(身近なところ
では兜町がその典型です。DX化により取引所に出入りする人員自体が激減
して、街は商店、飲食店を中心に衰退の一途となりました。)
■アメリカの商業用不動産はかっては、安定的な市場であり、運用するには
安心できるものでした。
低いローン金利と安定的なオフィス賃貸料収入で、利ザヤが稼げたのです。
「在宅勤務」が増えると、オフィスの空き部屋が激増しました。
オフィス賃貸料は激減し、反面、借入金利は上昇しました。
売り上げが減って、仕入れコストが上がるのですから経営は一気に苦しく
なります。
FRBが金利引き下げを急ぐのは、商業用不動産関連から始まる金融危機を
回避することが現状最大の目的です。
商業用不動産業界の救済ともいえるこの政策は、他ならない、トランプ
次期大統領にとっても待ち望んでいるところです。
トランプグループは、まさに、ビルのオーナーであり、コロナ後の在宅勤務
に苦々しい思いでいるはずです。
■アメリカの負の側面は、商業用不動産とクレジットカードの延滞率です。
商業用不動産の含み損失は20%を超えると想定しています。
中国同様、アメリカも不動産対策に留意をしなければならない、という事です。