「石破総理の政策の中心は「地方創生」です。はたして、それが
日本全体に寄与するモノなのか、どういう構想なのか、今一つ
見えないものがあります。」
■「地方創生」を唱える石破総理の基本には、田中角栄元総理の
「日本列島改造論」があるのではないかと想定しています。
田中氏の「改造論」は、スケールも大きく、日本経済への影響度
が大きく、また、地元新潟を想定した産業構造の改革や企業誘致
それによる日本全体への経済成長の寄与度など、感化を受けた
政治家や国民も多くいました。
その時に「新人代議士」として政界にデビューした石破総理は
田中角栄氏に薫陶を受けたことが知られています。
さて、その時から時代は大きく流れました。
地方と都市部との格差は、当時よりも拡大しています。
地方も都市部も生活水準や社会インフラに大きな格差が無かった時代と
比較して、現在は大きく格差が出来ています。
その環境下で石破総理はどんな「地方創生」を企図しているのでしょうか。
■日本全国の前年同月比の物価上昇率を見ると面白いことがわかります。
東京圏や、都市部は、実はさほど物価上昇率は高くはありません。
高いのは地方、とりわけ山陰や東北、北海道、沖縄などです。
同じ地方でも九州や四国はさほどでもありません。
東京圏は、そもそもの物価水準が高いという事もありますが、それだけに
あまり上昇していない、という事でもあります。
また、東京圏などは自治体の税収が多く、「高校無償化」などの効果で
物価が押し下げられている、という背景もあります。
地域的に遠い、交通インフラが不便である、人口が少なく産業集約が
進んでいないなどの理由で、各企業が在庫を積み上げることが出来ずに
物価変動率が上がる、という事が原因です。
■地方から都市部へ人口が集中する傾向は、日本だけではなく世界共通
の課題です。
都市部に人が集まることにより、譲歩が集まり資金が集まります。
それらを求めてさらに人が集まるという循環が起きているのです。
矛盾も生まれています。
東京都心部の新築マンションでは「二億ション」など価格の高騰が続いて
います。
その一方で山手線内の17%ほどで、持ち主不明の住宅などが存在しています。
このアンバランスを解消するだけで、相当の経済効果が期待できます。
地方創生で、地方都市をどんな構想で産業育成で行うのかは地方任せ、
というのでは、世界に向けての日本政府の政策としてはお粗末ではないでしょうか。
野党も肝心なことは何も言いません。
もう一度国民が問いただすべきではないでしょうか。