代表中野を嗤え「日銀はタカ派?」(2024.08.30)

「先月末の日銀政策決定会合後の植田総裁の発言で、まだ日本の金利は上げる余地が
あるという内容が切り取られ、「タカ派発言」として、市場で取り上げられています。

はて、本当にそうなんでしょうか。
そもそも、日本経済はつい最近まで「デフレ」にあえいでいたのではないでしょうか。」

■日本銀行の金融政策を、ドルとの為替相場に絡めて説明するコメンテーターが
ほとんどです。
「日米金利差」が縮小するから為替は「円高」に向かうなどなどです。
しかし、「日米金利差」は、コロナ前から存在しており、その大きさは、コロナ前の方
が大きい時期もあったのではないでしょうか。

日本経済はようやく「デフレ」から脱却しようとしています。
「デフレ」から脱却した象徴として、「金融政策」が変更されるのは、間違った事
だとは考えていません。

日本銀行が、金利を上昇させていく理由には、いくつかあると思います。
①自然利子率を押し上げるために人為的な金利の存在が必要である事
②景気の拡大により、物価上昇が想定している上昇率を超えてくるときには、抑制する
必要がある事
③「円キャリートレード」などの行き過ぎた市場取引により、為替相場が「円安」に
あるいは「円高」に傾くときに「金利操作」を行う事

等だと想定しています。

日本銀行は、この基準を超えているとは考えられません。

つまり、「タカ派」という見方は、コメンテーターが期待している相場想定に対して
「友好的」であるかそうでもないかという観点から発せられていると考えます。

■日本経済の「自然利子率」はまだデフレ圧力が残っています。金融政策で、下支えする
必要があるのだと思います。

また、日本経済の強さが継続的であるかどうかの確信は市場関係者にはまだ無いというのが
本音ではないでしょうか。

日本経済が本格的に回復して強さを見せないうちに「金利引き上げ」をするとはけしからん
というのが日本銀行「タカ派」発言の内容です。

しかし、日本銀行は極めて中立に冷静に運営されていると思います。

真ん中に存在するという事は、別の方角から見ると違った形に見えることはよくあることです。

「為替相場」「株式相場」「円キャリートレード」「ヘッジ取引」それぞれにバイアスを
おいている取引によって、都合のいい金融政策は異なります。

■日本銀行は政府の子会社ですが、独立性を担保されています。

政府関係者や政治家からのストレスは少なくはないと考えています。

日本銀行の努力を改めて敬服したいと考えています。