「景気動向を示す指標はいくつかありますが、日銀短観で使われている
「DI]という数字は、有効に使われています。
景気の場合は「景気がいい」という答えから「景気が悪い」と答えた数を
引いて、判断するものです。
景気が良ければプラスに、そうでなければマイナスになります。」
■直近、開示された日銀短観で示された「DI」は製造業、非製造業とも
市場の想定通り好調でした。
製造業は、ダイハツの出荷停止などで、前回比マイナスでしたが、総じて
プラスでした。
さて、この調査には、「雇用」に関するモノもあります。
長期的な人口減少が懸念されている日本では、やはり、労働者の不足が
経済を成長させる阻害要因になっていると思います。
現在の日本の有効求人倍率は1.2ばいから1.6倍です。
景気が順調に拡大してくれば、この倍率がさらに拡大することが想定され
ます。
■長期的な人口減少、そして、高齢化による労働人口の減少が、日本の
労働者不足を招いていることは明確です。
しかし、統計開始後で見ると、最も労働者不足が叫ばれたのは、1990年でした。
まだ、人口減少も高齢化も叫ばれていなかった時期です。
この時の「DI」は∖0程度です。
そして、現在この水準に近付きつつあるのです。
90年は、バブルの最後、建設需要や対面サービスなど景気が過熱することによる
労働者不足でした。
そのため、一旦不景気になると、この不足は瞬く間に解消されました。
しかし、現状は、当時とほぼ同じ水準まで「DI」が低下しています。
日本の日銀が分類する30業種すべてで労働者不足が顕著になっています。
賃上げが必要になるのは、この労働力を確保するためにどうしても必要なこと
なのです。
■しかし、雇用する側としては、最も欲しい人材は、「若く」「安価」「優秀」
な人材です。
新卒の雇用が人気があるのはそのためです。第二新卒でも十分です。
企業の成長の「ボトルネック」が労働力不足となりつつあります。
「安価」「若い」労働者を求めて海外に進出した企業も多くありますが、「円安」
による日本回帰の流れが強まる中、海外進出もこれ以上は拡大しにくいのでは
ないでしょうか。
「若く」「安価」「優秀」という条件の中で「安価」の部分は次第に上昇せざる
をえません。
「優秀」の部分は、グローバルな視点で海外からの人材も確保できます。
業種によっては、対応が可能な業種もあります。
どうしても代替が効かない業種が問題です。
■現状最も労働力が不足しているのが、インバウンドで活況の「旅館・ホテル」
等の接客業です。
次が建設業です。
運輸などの事業も法律の改正があるほど不足が際立ちます。
さて、これ等の不足を補うにはどうしたらいいのか。
やはり、海外からの労働力に頼るほかないと考えています。
海外からの移民を受け入れることで、相当量に改善できるのではないでしょうか。
アメリカが移民で成立している国のように、日本も尾民を受け入れざるを得ない
国なのだと考えています。
■日本は古代から「万世一系の国」であり、「大和民族」で、他民族を
受け入れにくいのだという声もあります。
しかし、日本人のDNAを調べると、縄文人で独占されていた時代から弥生人が
流入してきて、さらに、古墳時代には、大量に中国やアジアから移民が流入した
事が判明しています。
つまり、日本人は元から開放的な国民性であり、移民を受け入れやすいDNAなのだ
ともいえるのです。
日本の経済成長を継続するためには労働力不足が課題であり、その課題を解消する
には「移民政策」が最適である、という事ではないでしょうか。