代表中野を嗤え「自己株買い2」(2024.05.31)

「今年度に入り、事業法人の買い越しが際立っています。
これは言うまでもなく「自社株買い」です。
自社株買いは、アメリカでも長く相場水準を支えてくれました。
周回遅れですが、日本でもようやく、「自社株買い」が相場変動
の重要な材料となってきたと言えるでしょう。」

■以前にも書きましたが、株式相場にとって、「自社株買い」は
大きな下支え要因となります。

買い入れた自己株を「消却」しなくても、計算上、一株当たりの
利益などの数字は自己株を買い入れた分だけ切りあがるからです。

「自社株買い」を行う原資は、本来利益剰余金などの内部留保されて
いる資金です。
低金利で資金調達をして、「自己株買い」に充当する会社もあり
ますが、本来の株主に対する姿勢としては、「内部留保」を株主
に「再分配」するという考え方が正しいのだと思います。

■1990年代日本の金融システムは音を立てて崩壊しました。

金融機関が収益至上主義で、安易に稼げる「融資」を急拡大させました。
法人向けはもとより個人向けにも日本中の金融機関が「融資拡大」
に邁進したのです。

そして、急速に拡大した「融資」を突然縮小することにしたのです。

「融資」を受けていた側は、突然「はしごを外された」と感じました。
「貸しはがし」「貸し渋り」が日本中に拡散しました。

「融資拡大」「収益至上主義」が日本中に拡散した速度以上に、収縮する
速度が速く起きました。

そのため、個人の「自己破産」「債務整理」が相次ぎ、担保であった
不動産は投げ売りされました。

法人でも「貸しはがし」「貸し渋り」が拡大して、倒産する会社が相次ぎ
ました。
もっとも、金融機関にも回収できない資金などが理由で倒産するところが
増えました。

かくして、日本は大不況に陥ったのです。

■生き残った法人は、「銀行離れ」を加速しました。
内部留保を増加させ、コストを削減し、設備投資を控えて、現金と現金同等物
を積み増すことに邁進したのです。

その動きは個人にも拡大します。

かくして、日本社会は、投資不足、消費不足になり、「デフレ」に突入した
のです。

■「自己株買い」はようやく日本企業にも正常な考え方が回帰してきた
という事だと考えています。

「お金」は「貯蔵」しているだけでは何の利益も生みません。
「モノ」や「サービス」いずれかに紐づけられて初めて価値を生み出します。
そのことに日本社会はようやく気が付き始めたのです。

超低金利政策などの施策がようやく効き始めたという事だと考えています。

個人はまだ消費を加速するほど変化していませんが、法人は明らかに変化
しています。
「設備投資」が増え、内部留保、自己資本の効率的運用を求めて「自己株買い」
を始めています。

30年以上も続いたマインドが変化するにはやはり時間が必要です。
しかし、動き出したことは間違いがありません。

■自己株買いを開示した会社の株はやはり要注目だと考えています。