「月末のFOMCが終了した直後にアメリカの主要経済指標が次々と
開示されています。
新規失業保険申請件数が増加し、製造業景況感指数は50割れを継続、
今後、失業率や雇用統計の数字がさらに悪化してくるようだと、愈々
「景気後退」が鮮明になります。」
■この欄で以前にもコメントしましたが、アメリカの景気は「個人消費」
がけん引しています。
「個人消費」の過半以上は「高齢者」がけん引しています。
「高齢者」の消費が継続しているのは、アメリカの株高で、資産が増え
ているからです。
「高齢者」以外の層では金利の高止まりが消費を押し下げています。
つまり、FRBの金融政策は、「インフレ」と同時に「株価」に留意しなければ
ならないのです。
「インフレ」から「雇用」に着目しているとパウエル議長はコメントしまし
たが、実は「株価」には楽天的であるため、「雇用」という言葉を選択した
のではないかと想定しています。
■この欄で何度かコメントしましたが、アメリカの雇用状況などから
分析するとアメリカはすでに景気後退期に突入していると考えています。
FOMCは、9月まで開催されません。
つまり、これから40日間余りは、何の手も打てないのです。
日本銀行はその点を考慮して、前倒しに金利を引き上げました。
FRBは9月の引き下げを示唆しただけにとどまっていますが、市場は9月まで
待ってくれないかもしれません。
アメリカにとって「株価」は大きな意味があります。
「株価」の下落は「高齢者」の消費を縮小させます。
「高齢者」がけん引している「消費」が縮小すればアメリカ経済への影響は
相当程度に大きくなります。
負のスパイラルも始まる可能性があります。
サマーラリーが、「下落スパイラル」で起こる可能性があるのです。
■「遅かりしFRB」とセリフが聞こえる気がします。
「巧遅」が功を奏すより「拙速」が有効な場合の方が経済では多いのでは無いか?
そう考えています。