「風が吹けば土ぼこりが舞い上がり目に入り盲人が増える。盲人が増えれば
芸事でもするほかなく三味線が増える。三味線を作るために猫が狩られる。
猫が減ればネズミが増える。ネズミが増えれば桶をかじる。
かくして桶屋が儲かる。
これが「風が吹けば桶屋が儲かる」という話です。」
■エヌヴィデアが儲かれば日本株が上がる。というのも似たような話です。
「生成AI]が新しい時代を作る→「生成AI」には「先端半導体」が必要
→「先端半導体」のリード企業は「エヌヴィデア」→「エヌヴィデア」
の売り上げが伸びると時代は「新しいAIの時代となる。
ここまでは納得できそうな内容です。
「新しいAI」の時代になると「データセンター」が必要となる→提携する
会社が必要(さくらインターネットなど)→「データセンター」が増えると
電力が必要→「電力会社」の業績が上がるのでは→「電力会社」から
「データセンター」に送電線が必要(電線会社)→「電線」には「銅」が必要
という理由でそれぞれ関連する銘柄が動意づいています。
■さて、この議論には、根本的なところから疑問があります。
「生成AI」は、社会に実装されてどんな役に立つのか?という疑問です。
「製品」や「システム」を販売したい側は、さまざまなセールストークを提示
しますが、業務などで利便性を感じる人はいても、普通の人々の生活を
大きく変化させて、より良い社会になるという提示はまだありません。
「おそらく、関係各社は使い道を懸命に考えているところだと思います)
「エヌヴィデア」の「最先端半導体」はTSMCで製造されています。
「エヌヴィデア」の半導体の売れ行きが増加すれば「TSMC」の売り上げが増える
というところまでは理屈が合います。
「東京エレクトロン」に代表される日本の「半導体製造装置」関連銘柄への恩恵
は、「TSMC」が製造を増強する時に、製造装置が納入される可能性がある、という
事です。
スタートからするとずいぶん遠いところにある気がします。
エネルギーは中心から遠ざかるほど影響が弱くなるというのは物理の法則です。
つまり、日本の「半導体関連銘柄」は意外と中心から遠いところにあるのです。
■まして「電力会社」になると、そもそもこれから発電所を増設する「電力会社」
があるのか、というところから考えなければなりません。
現状の発電能力は、建て替えが必要な発電所までフル回転させて発電している
「東京電力」などいっぱいいっぱいです。
何かあればすぐに「停電」してしまう「北海道電力」も同様です。
合理的な説明が難しい相場は、やがて終息します。
「風が吹けば桶屋が儲かる」方式で物色が拡大していくのは、投資家心理としては
有りがちですが、大成功した投資家の話はめったに聞くことはありません。