「今年の春闘は満額回答以上の賃上げで妥結が相次ぎました。平均5.8%
の賃上げは、インフレ率を超える高さであり、物価高に苦しんできた
国民には、GOOD NEWS として受け取られました。
中には、是で値上げが継続できるとほくそ笑む経営者もいます。」
■日本の高齢化は徐々に進行しています。
令和4年(昨年です)10月の統計で、総人口は1億2495万人。そのうち65歳
以上の人口は3624万人です。比率にして29%(高齢化率)です。
同様に労働力人口(労働力人口とは15歳以上(!)の就業者と完全失業者
を合計した数字です)は、6860万人です。
労働力人口に、年齢制限はありませんから、65歳以上の人口もこの中に
一部は含まれます。
15歳以上の人口の中には、仕事に就業していない人たちも当然存在します。
「通学」「家事」「高齢者」などの数字が差し引かれます。
「高齢者」というくくりがあるように、就業していない高齢者は労働人口
から差し引かれます。
■さて、単純な計算です。労働力人口の内3624万人(-α)は、高齢者で
あり、春闘などの賃上げとは、縁遠いところにあるという事です。
緩やかな「インフレ」が、資本主義経済下での成長には必要である事は、
理解できますが、年金などの収入以外ない高齢者にとっては、「インフレ」
は容認できないものであるという事です。
当然「年金」支給額も増加しますが、「インフレ率」に追随しての上昇が
見込まれればいいですが、往々にして、遅れがちになります。
「団塊の世代」はすでに「後期高齢者」になりました。
数年以内に「団塊ジュニア世代」が「高齢者」の仲間入りをします。
高齢になっても「就業チャンス」が継続してあれば、問題は減少します。
しかし、必ずしも「高齢者の就業」が円滑に進んでいるとも思えません。
それは、高齢者自らの問題もあるかもしれません。
■収入が少ない、増加する可能性が小さい高齢者にとって、「インフレ」
は、大ピンチです。
「安さ」への回帰が進まないわけがありません。
高齢者向けの収入確保、年金の増額などの検討が無ければ、日本は、
「デフレ」へ向かわせようとするエネルギーが、根強く残るという事
になります。
政策を検討する官僚、マスコミ、メデイアの現場の人たちは、ほとんどが
現役世代です。
高齢者の状況や心理に「忖度」が持てる年代ではありません。
社会のひずみは、少しづつ拡大していくのではないかと懸念しています。
高齢化社会の問題は、「デフレ」から「インフレ」に転換したことで
より大きくなると考えています。