「国会では、野党も与党も目玉政策として「103万の壁」の改変について
期待しているようです。
しかし、いいことの裏には、必ずマイナスもあるのです。」
■前回の選挙で、国民民主党が、「手取りを増やす」政策の一つとして
「103万の壁」を引き上げる提案をして、議席を伸ばしました。
与党も、ちょうど「103万の壁」の改定時期に当たるため、国民民主党
を取り込むために採用されました。
扶養家族である主婦や学生が、アルバイトやパートなどで収入を上げると
「103万円」を超えるところから扶養控除が削減されたり、失われたり
することがあります。
そのために、パートをしている主婦を中心として、働きすぎない方策
をとります。
つまり、「働き止め」で、この「103万の壁」をクリアしようとするのです。
最も労働力が不足している「パート」の分野で、「103万の壁」があることで
より加速しているとも言えます。
■「103万の壁」が改正されて、上限が引きあがると(この引き上げは数年ごと
に行われており、今年は改定時期にもあたります)より多くの収入を獲得する
事が出来ます。
働く人が増えるのです。
その動きは主婦や学生(親に扶養されていてきちんと親に気を使っていれば・・)
の労働供給が増加します。
政府や野党が「最低賃金の引上げ」をもう一つの公約として掲げています。
「賃金の引上げ」は、労働力の需給関係がひっ迫すれば必然的に実現します。
「賃上げ」をしなければ労働力を確保できないからです。
コロナ禍以降、急速に人手不足が広がり、「最低賃金」の上昇が進んでいます。
政府の思惑通りです。
さて、「103万の壁」が引きあがると、労働力が大量に供給される可能性があります。
「需給関係」で「最低賃金引上げ」が実現してきたのですが、果たして、「103万の壁」
引き上げ以降はどうなるでしょうか?
■国内の飲食業や小売業の決算で減益決算が多くなっています。
その原因は「人件費の高騰」です。
零細業者では、廃業する飲食店も増えています。
さて、その中で「103万の壁」の引き上げは労働力の需給関係を緩めることになり、
賃金の上昇を抑えることになる可能性があります。
まさしく「鉾と盾」の政策になるのです。
さて、政治家の皆さんはどうするのか?
経済政策とは、身近な問題点から考える事から始めなければならないという事です。