「テスラが最初の完成車を販売開始したのが2006年です。日本では三菱自動車
と日産自動車がそれぞれ2009年と2010年に販売を開始しました。
その後概ね20年間、EV=電気自動車は、世界で販売台数を増加させました。
しかし、今や大きな転換点を迎えていると思います。」
■「地球温暖化問題」の解消を目的とする「脱炭素運動」は、この20年間の
自動車市場に大きな変化をもたらしました。
内燃機関を活用した「ガソリン車」は、「脱炭素」の敵として扱われ、増加が
目に見えて停滞し減少しました。
トヨタが開発した「ハイブリッド車」は急速に拡大増加しましたが、一時期は
「EV車」一択の世界の空気感に押されました。
そして、現在、「EV車」の拡大は大きな課題を抱えていると思います。
■実は「EV」はガソリン自動車より先に開発されています。
1908年にはフォードがT型フォードでEV車を発売しているほどです。
仕組みとしては、内燃機関を開発するよりも「モーター」で駆動させる方が
技術的にも障壁が低かったという事があると思います。
その参入障壁の低さは現在の問題にもつながっています。
中国で安価な(政府が大幅に補助しているからでもありますが)EV車が
製造され、国内での消費よりも、外貨の獲得を目的として、世界中に輸出
されようとしていること。
中国は「太陽光パネル」で成功したビジネスモデルを「EV」でも実現しようと
しています。
「EV」はしかし、市場に導入されてから20年以上を経過しながらその普及は
想定したほどは進んでいません。
理由は以下ではないでしょうか。
1・コストが高い
内燃機関を基本とする自動車は燃料補給が容易です。世界中に張り巡らされた
供給網が存在するからです。
電気料金よりもむしろ、充電が完了するまでの時間、長距離を走るための
燃料補給場所を探すコストなどが圧倒的に高すぎるのだと考えます。
そのため、シンガポールなどの狭い国で走行距離が短くて済む地域では普及しますが
それ以外の国々では「充電装置」の普及、時間コストの高さが大きな課題なのです。
2・電池の安全性の低さ
リチウム電池は現状では最も優秀な電池ですが、難点があります。
重いこと、発火しやすいことです。
水をかぶると発火するリチウム電池は意外と多く、とりわけ中国などの生産管理が
甘い地位で作られた電池は安価ですが「発火」する危険性があるのです。
■ゲームチェンジは間もなく始まると考えています。
EVの普及の最大の課題は「充電施設」の拡充と「充電時間」の改善、「走行距離」
の延伸などです。
とにかく「充電施設」「充電時間」の改善はマストの課題です。
トヨタと出光が共同開発している「全個体電池」がそのゲームチェンジャーになると
期待しています。
充電時間は3分の一に、走行距離は3倍になる、その夢の電池は2027年の感性を
企図しています。
丁度、「EV一択」の空気が世界中で変化しています。
2027年という時間軸は十分間に合うと思います。
「テスラ」が駆逐されて「トヨタ」や日本車の時代が到来することを想定しています。