「昨日のニューヨーク市場は、債券金利の下落を好感して、三指数とも
上昇。とりわけナスダック市場は最高値を更新しました。
日本市場では先物主導で寄り付きから上昇しましたが、現物買いがついてこず
結局、もみ合い状態に逆戻りした形です。」
■ニューヨーク市場では、今晩のCPIと小売り売上高の開示があります。
アメリカ市場の最大の関心事である「金利引き下げ」の蓋然性が高まるか下がるのか
その分岐点です。
パウエルFRB議長は講演で「金利引き上げの選択肢はない」というコメントを
出しています。
今晩の指標の開示は6月の「金利引き下げ」の可能性に影響を与えます。
しかし、CPIや小売り売上高はボラテイリテイが大きく、市場が期待するような
数字が出てくるかどうかは微妙です。
既に、クレジット会社の新規枠は、伸び率がゼロになっており、「金利高止まり」
と景気の実態の悪化が進行していることが示されています。
クレジットカードの「延滞率」が急増していることはすでに、日経新聞でも
コメントされています。
「金利引き下げ」はアメリカにとって、早期に行われざるを得ないと考えています。
しかし、「金利引き下げ」が起きるという事は、急速に景気が後退しているという
事でもあります。
現状では「好景気の維持」「金利の低下」という相矛盾することが両立しているか
のような市場です。
そんなうまい話が続くとは想定できません。
「金利低下」が起きると同時に「景気の後退」を意識した株式市場の動きになる
という事も想定しておくべきではないでしょうか。
■日本市場は、「先物がけん引」する年初から3月までの相場の「二匹目のどじょう」
を狙う短期投資家に煽られています。
先物でけん引して、値がさハイテク株の現物買いで水準を支えるというシナリオ
です。
そのシナリオは決算開示が続く中ではうまく機能していません。
それは、腰の 座った中長期の投資家が市場に参入していないからです。
これ等大量の運用資金を有する投資家は慎重に決算の行方を見定めています。
とりわけ今年は「増配」「分割」「自社株買い」を開示する会社が増加しています。
その開示に対して「脊髄反射」で対応するAI投資家や個人投資家が市場を荒らしている
観もあります。
そういう落ち着かない時期には中長期の投資家は出動しません。
■本日で決算もほぼ終了します。
いよいよ市場に落ち着きが戻ります。
本格的な投資を開始するのはこれからです。