市場の目「周知の材料は材料にならない」(2024.07.10)

「昨日のニューヨーク市場は一昨日とまるで同じ動きです。ダウ平均は
小幅下落、ナスダックとS&Pは小幅上昇という動きです。

昨日開示されたパウエルFRB議長の議会証言が、「金利引き下げ」に前向き
な発言であったことが株式市場の支えとなりました。

日本市場は、本日ETFの配当原資の売りが出るという情報がありました。
しかし、SQを巡る海外投資家の投機の動きの方が強かったようです。」

■アメリカの経済統計は昨日もコメントしたように、悪化しています。

とはいえ、開示が進んでいるアメリカの上場企業の決算は比較的順調な
数字が開示されています。
景気の低迷や後退の印象は薄らいでいます。

しかし、株価は経済の反映です。景気全体が悪化してくると、必ず株価には
反映されます。
ナスダック市場は、「生成AI」など次世代の社会インフラ関係の銘柄が多く
そのため景気後退の影響は少ないと考えられているのかもしれません。

本日、午後2時半に開示された「TSMC」の月次決算は売り上げは前年同月比
30%を超える増収でしたが、利益は4月をピークとして5月6月と減少しています。

まだ、本格的な超繁忙で利益が増額とまではいかないようです。

アメリカの「金利引き下げ」は前倒しになると想定しますが、株式市場は
「景気低迷」と「生成AI]を巡る期待でせめぎ合うのではないか、そう考えて
います。

■日本市場は、本日7月10日はETFの配当原資をねん出するための売りが大量に
出ると周知されていました。

そのため、寄り付きから「売り」で入る投資家も多かったと想定しています。

そのため、海外投機筋の「買い上り」が進むと、否応なしに「買戻し」「踏み上げ」
を余儀なくされ、そのために引けにかけて、「特段の材料がない」上昇と
なりました。

明日もこの動きが継続する可能性があります。

■別コラムでも書きましたが、株の価値観が歪められている現状を打開するのは
日本を母国とする投資家だと考える次第です。