市場の目「年頭教書」(2025.03.04)

「昨日のニューヨーク市場は、カナダとメキシコへの関税が予定通り
発動されること、中国に対する関税が発動されることのトランプ大統領
による発言で、三指数ともに下落しました。

週末の「トランプ・ゼレンスキー破談」から欧州が素早い対応で、
「ウクライナ支援」を決めたのに対して、アメリカは支援撤退を進めました。

アメリカに回帰しようとした欧州資金は再び止まらざるを得ません。

日本市場は、再びアメリカによる「為替操作疑念」です。」

■日本時間5日の11時頃からアメリカ上院下院合同で、トランプ氏の「施政
方針演説」いわゆる「年頭教書」が行われます。
就任以来、市場に対して、不安定要素を投げかけていた大統領が、いわば
今後の方針を語るわけです。

すでに、おぼろげながらトランプ大統領の政治方針は見えてきていますが
とはいえ、正式な場で、何を語るかは、注目です。

市場関係者は再び固唾をのんで、確認作業に入ります。

その直前に、投資残高を保有しているよりは、処分している方が安全です。
昨日のニューヨーク市場の下げの原因はそれだと考えています。

トランプ大統領が、世界中の国に対して「関税を賦課」することはすでに
既定の事実として、考えるべきです。

カナダとメキシコに対する25%の関税賦課は、自らが「契約」した、貿易条約
に反することです。しかし、「昔は昔、今は今」という事なのでしょう。

むしろ相場は、中途半端な「関税延期」などより、「関税発動」の方が
好感すると思います。

つまり、トランプ大統領の戦術は、次第に足元を見透かされるようになると
考えています。

■「トランプ・ゼレンスキー破談」と直後のウクライナ支援停止は、アメリカの
地位や名誉や信頼感を大きく棄損しました。

「自由主義世界の盟主」としてのアメリカは、単なる「強欲な承認」として
世界の中では「蔑視」される国に落ちるかもしれません。
「対中国」政策を強化する行動に「大義名分」が失われてしまいました。

トランプ政権が、就任早々、喪失したものは、トランプ政権が認識している以上に
巨大なものだと考えています。

欧州は、アメリカ抜きでのウクライナ停戦を進めると思います。

第二次世界大戦以来続いていた欧州のアメリカ依存が転換します。

アメリカは、世界に対して大きな影響力を失うことになると考えています。

■日本市場は、アメリカに追随して下落しています。

昨日買い戻した投機筋が再び売りに回ったという事だと考えます。

日本市場を支えているのは「自社株買い」です。
日本企業の内部留保の金額は現在さらに増加しています。
アメリカ企業と比較しても遜色がありません。

本来、研究開発などの投資に回すべき資金ですが、当面しばらくは自社株買いに
使われます。

日本市場の底値は固いと想定しますが、上値は まだまだです。

キャッシュポジションを高めにすること、「逆指値」を厳守する事が重要です。