市場の目「悪い円安」(2024.11.14)

「昨日のニューヨーク市場は三指数ともまちまちの動き。ダウ平均、
S$Pは、小幅上昇、ナスダックは小幅下落でした。
日本市場は、決算開示の渦中です。」

■トランプ祭りが収束に向かう中で、最も冷静に反応しているのは
債券市場です。
FRBが金利引き下げを決め、追加で0.25%の日k下げを決めたにもかかわらず、
債権は売られ、債券金利は上昇しています。

12月にも追加で0.25%下がりそうですが、債券市場は、まるで無反応もしくは
FRBに逆らうように債券を売り金利が上昇しています。

トランプ政権が発足した後、起こりうるインフレ懸念が払しょくされない限り
この債券価格の下落=金利上昇は避けられません。
しかも、具体的にトランプ政策が発動するのは、来年の1月以降なのです。

金利が上がれば、株式市場は上値を追う動きが出来ません。

アメリカも具体的な決算数字を確認するまで待つ以外ないかもしれません。

■日本市場では、「円安=製造業買い」というシナリオが崩れつつあります。

「円安」の背景がアメリカ経済に対する不安の反映であるとすると、無条件に
輸出産業である製造業にメリットが出てくるとは言えないからです。

とりわけ、アメリカによる中国牽制がより鮮明になると、日本企業は、中国に
バイアスを置いている会社も多く、業績に悪影響が出ます。

また、来年から発足するトランプ政権に対して、無条件に楽観できる日本の
経営者は多くありません。
慎重な通期見通しになることはやむを得ないのです。

これ等の事を勘案しながら株式市場では機関投資家などの長期大口投資家が
分析を進めているところです。

想定通り、自社株買い、増配、株式分割を決議する会社が増えています。

何より、PBR1倍割れの会社は様々な指標から排除される可能性があるため
落ち着いてはいられないはずです。

投資の常識が日々変化していく所以です。