市場の目「投機筋荒稼ぎ」(2024.07.11)

「ニューヨーク市場は、三指数ともに大幅続伸しています。今晩開示される
CPIの数字、明日開示されるPPIの数字を本来ならば待ちたいところです。

日本市場は、明日のSQに対する仕掛けが、数カ月ぶりに成功しています。
指数先物でけん引した海外短期筋の仕掛け大成功で荒稼ぎというところです」

■アメリカ市場をけん引しているのは、目下のところ「パウエル議長の
議会証言」です。
連日の「金利引き下げ」に対する前向きな発言は、市場を支えています。

もう一つ昨日は、台湾TSMCの月次報告でした。
売り上げが前年同期比プラス33%という増収を評価して、SOX指数が上昇して
います。
また、アイフォンの新型機種が9000万台の想定であることも下支えする要因
となったのではないでしょうか。

「金利引き下げ」と「ハイテクによる経済のけん引」が基本的シナリオです。

とはいえ、アメリカの景気は大幅減速の瀬戸際にあります。
雇用者数が減少し、失業率が上昇、しています。
経済をけん引してくれるはずの「ハイテク」は、リストラを繰り返し安定的
に雇用が拡大する業種ではありません。
彼らは常にベストの人員を求めるため、リストラと新規採用を繰り返します。
つまり、コストが高くなった「古い」「使えない」人間はリストラ対象となり、
新規で「最優秀」な人員を雇用するという事です。

比較的ハイスペックで、「高賃金」の人たちがリストラされても、その「高賃金」
を支払える雇用は多くはありません。
本当に「優秀」な人は、引き抜きなどで転職していくからです。
かくして、「高賃金」から「低賃金」に職を変えざるを得ない人材が溢れます。

アメリカの経済のぜい弱さと強さはここにあると思います。
つまり、「強者はさらに強くなり弱者はさらに弱くなる」という事です。
二極分化がさらに加速しそうです。

何となくアメリカは嫌な国になりそうです・・・

■日本市場では、事前に流れていたETFの配当撮りによる大量の売り情報に
よる売り仕掛け、値ごろ感からくる「売り」などの「売り方」が徹底的に
叩かれました。
これは今年の1月や2月と同じ動きです。

先物を先行させ、現物株を追随させるというこの仕掛けは、とりあえず、今回は
功を奏しましたが、8月は微妙です。

アメリカでも始まりますが、4月から6月の決算開示が始まります。

今年の4月5月同様市場の期待値ほどこの四半期の数字が伸びていない会社が
多く出てくると想定するからです。

「円安」の影響などで上振れする会社も出てくるとは考えますが、株価の上昇の方が
早く、株価の上昇に追いつかない決算数字では、株価の方にひずみが起きて反落する
事が多いのではないかと考えているからです。

先物を先行させ、現物(なかでも指数に寄与度の高い銘柄にバイアスをかけて)を
追いかけるという手法は、現実的な決算数字でついていけなくなることが起きるのです。

半導体製造関連銘柄が4月から5月に下落したようなことが起こりうるのです。

■相場の上昇には付き合い続けることです。
しかし下落には付き合ってはいけません。

「逆指値注文」を勝異様することを何度も提案しています。

失ってしまった「含み益」を嘆くより、多少少なくても売り抜けたほうが相場は
勝ちなのです。